アジアンプリンス日記

アジアンプリンス日記

ベトナム駐在員のメモです。遊び先、金融、不動産、法律、レストラン、生活、日々蓄積した情報で、ベトナムに関わる方の役に立てれば幸いです。(上記の「アジアンプリンス日記」をクリックすると、記事一覧を見ることができます。)

ベトナムでのFX取引について(やり方・制度など)

私はベトナム駐在員ですが、外国為替の影響がビジネスや生活(子供の学費など)に直結しており、投資をする中で、FX取引に目覚めました。

海外に居住していると投資の選択肢が無く、FXは良い投資の一つと考えています。

が、ベトナムにおいて制度面の問題や、方法など調べていく中で、中途半端な情報などが出回っており、参考までに、調査した結果を本記事に整理します。

 

ベトナムでの外貨というもの

ベトナムにはベトナム・ドン(VND)という貨幣が流通しています。一昔前は米ドルも市内で流通しましたが、今は政府の政策の結果、ドンでの取引が一般的です。

1986年のドイモイ政策以降、特にここ10数年で破竹の勢いで経済成長を達成しており、それと共にインフレも良い感じに進んでいます。

ベトナムは日本や韓国などをはじめとした外国企業の投資を呼び込み、経済成長を実現してきました。そのような中、外貨はベトナムにとって重要です。

ベトナム人のお金持ちは、蓄積したドンを、土地、ゴールド、米ドルに換えます。ドンの支柱銀行の金利は7~9%程度ありますが(2023年現在)、米ドルは0%です。

中央銀行であるベトナム国家銀行は、外国為替に関して介入し、為替レートを一定の水準に保っています。管理フロート制と呼び、中国と同様の制度です。(参照:ジェトロ記事

つまり、外貨の流通を国家がコントロールしたいと思っています。

身近な例で言うと、ベトナムに入出国する際は、5,000米ドルまたは1,500万ドン以上に相当する外貨を所持する場合、税関に申告しなければならず、していない場合は所持金を没収されるなどのルールがあります。(参照:大使館HP

 

ベトナムでのFXは合法か

外国為替投資はベトナムで合法か

法律サービスである法律図書館(THƯ VIỆN PHÁP LUẬT)というWebサイトによると、外国為替規則を引用(2005年公布、2013年改訂)し、

第 36 条. 外貨業務およびサービス提供の原則

1. 金融機関、外国銀行の支店およびその他の組織は、ベトナム国家銀行の書面による承認を得た後、国内外で事業を行い、外国為替サービスを提供することができる。

2. ベトナム国家銀行は、金融機関、外国銀行支店およびその他の組織の、外国為替業務およびサービス提供の承認のための、国内外における業務およびサービス提供範囲、条件、順序および手続きを規定する。 (仮訳)

として、組織・個人が、国家銀行の規定に従って、認可された金融機関との外国為替取引を行うことが許可されているとしています。

また同サイトによると、70/2014/NĐ-CPの第14条に以下の規定があり、

1. 外貨市場とは、各種外貨の売買活動が行われる場所である。外貨市場の参加者には、ベトナム国家銀行、認可された金融機関が含まれ、顧客はベトナム居住者および非居住者である。
ベトナム国家銀行は、外貨市場における外貨取引の条件、方法、および種類を規定する。(筆者仮訳)

これを根拠として、ベトナム居住者および非居住者である顧客は、外国為替投資市場に参加することができると結論付けています。

また、ここで重要なことは、「認可された金融機関」という定義です。

ハノイの旧市街でゴールドを取り扱っているお店が銀行よりも良いレートで両替してくれますが、これは違法ということです。

更に、政令88/2019/NĐ-CPの第23条によると、個人間の外貨の売買も違法です。

2014年よりフロアトレーディングはベトナム国家銀行により違法とされています。

 

ベトナムで認可されたFX業者

ベトナムの当局は、本記事執筆時点(2023年)まで、業者に外貨取引のライセンスを発行していません。そのため、ベトナムで認可されたFX業者は存在せず、インターネット等でそのような業者がいた場合は、詐欺とのことです。

なお、WTOのコミットメントのスケジュールでも、外国為替ビジネスは除外されているようです(参照)。

そのため、ベトナムでFXのトレードを実施する場合は、海外で登録されたFX業者を利用します。そのため、日本人にとっては、日本でも評価された海外FX業者を利用するのが最も良いと考えます。

XMなど日本人が日本でもよく利用している海外FX業者の中には、ベトナム語のサイトもあり、ベトナム人をターゲットにしているところもあります。

 

公安の警告

ハノイ市公安局のWebサイトでは、彼らの統計によると、2021年現在、ベトナム市場には約300の違法な外国為替取引場があり、「chơi Forex(Forexで遊ぶ)」と呼ばれています。違法FXブローカーが電話やZalo、Facebookなどを通して招待し、最初は投資家に勝たせます。その後多くの資金を入金させ、大規模な取引に誘導し、そこで不明瞭な多額の手数料を取る。ポジションを裏で操作します。その投資家は資金を失います。その後、その投資家に新しいFX業者を紹介し、そこに入金すれば失われたお金を取り戻すと約束するようです。

また、より多くのメンバーを招待した後に、ブローカーにボーナスや手数料を支払うねずみ講やマルチ商法の形態も多くあるようです。

そのため、FX取引を行い、勧誘する行為は、上記の違法取引を助長する行為だとして公安が警告しています。そして、国家銀行は、そのような「ベトナム国内」で運営される外国為替取引セクター全体が違法であり、ベトナムの法律で損失を保護しないことを確認しています(参照記事)。

 

結局ベトナムでのFXは合法なのか

上記を整理すると、責任を取れるわけではないですが、以下のとおり整理できます。

・個人の外国為替取引への参加は禁止されていない。

・ベトナムのFX業者は違法/詐欺。

・海外FX業者を利用する分には合法。但し、ドンは利用しないで、外貨ペアのみ。

 

他のサイトでベトナム・ドンで取引きできるFX業者を紹介している記事を発見しましたが、上述の背景から、そのような業者を利用するのは避けるべきですね。

 

ベトナムでFXをする方法

上記のとおり、使うのはベトナムの業者ではなく、海外FXということになります。

同時に、海外在住の人は、国内FX業者の登録が基本的にはできないので、それも海外FXを使う理由となります。

であれば、日本でも有名な海外FX業者、特に日本語サポートがあるところが使いやすいでしょう。

信頼性が高い業者を以下に記載します。

 

Bigboss(ビッグボス)

海外FX業者は無数にあるのですが、Bigbossは口座開設ボーナスがあり、開設が容易、日本語表記で日本人のサポートがある点が、最初に試すものとして推奨できる理由です。

入金がしやすく、出金も早いと言われています。銀行振り込みの入金が5万円未満だと手数料がかかるのが嫌ですが、クレジットカードでも入金できるのと、ベトナム在住にとっては、口座開設ボーナスがある業者の中では使い勝手が最も良いです。

他の業者に比べてボーナスも多く、仮想通貨(CFD)も取り引きできます。

その他、約定力の高さも定評があります。

日本語でニュースレターが来るのですが、それだけでも少し価値があります。

Bigboss

 

XM(エックスエム、XM Trading)

海外FX XM

最も多くの日本人が利用している海外FX業者と言われています。

週5日(FXは土日は休み)24時間の日本語の個別のカスタマーサービスで安心。

また、自分が探す限りは、出金拒否の話がありません(これも悪質な取り引きへの措置を除く)。

口座開設ボーナスがあるので、入金しなくても取り引き可能で、そこから利益が発生した場合はきちんと出金できます。

留意点は、私の場合、XMは住所証明ができず、当初、口座開設できませんでした。海外駐在員でサービスアパートに居住しているため、電気代などの支払明細がなく、日本の運転免許証やパスポートの最終ページでも不可でした。

後で分かったのですが、銀行の取引明細書(Bank Statement)は受付可能で、通常は住所の記載が無いと思いますが、銀行に個別に依頼すると、発行してもらえます。私の場合、VP Bankに依頼して、銀行で3万ドンほどかかりましたが、住所記載の取引明細書を発行してもらい、XMが受け付け、開設ができました。

口座タイプですが、まずはスタンダード口座が良いと思います。

XM口座開設ページ

 

但し、XMはベトナム在住の場合は入金手段が限られているようで、銀行振り込みができないのと、クレジットカードも対応可能なのですが、私が持っているカードは3つとも入金できませんでした(カード会社が海外FXへ入金拒否している場合があるようです。)。

 

ヒロセ通商(LION FX)

 

日本の会社の中で、数少ない海外居住者も口座開設できるFX業者です。私は海外FXを最初に利用したので、そこまでハイレバレッジを求めていないですがそれでもレバレッジが少なく感じてしまうのと、LION FXのアプリがレスポンスが悪いのがネックですが、日本の会社ということで安心感は抜群にあります。

ベトナム居住者は、本人確認として、日本大使館で在留証明書を取得する必要があり面倒ですが、私は開設できました。

ヒロセ通商

 

その他

口座開設方法、ツールの活用などの関連情報は、以下の記事でまとめたので参考にしてください。

dokic2.hatenablog.com

 

海外FX業者の中にはドンで入金できる業者もいますが、繰り返しですが、避けるべきと考えます。

そもそも、日本人である限り単純に円口座(あるいは少なくともUSドル口座)での資金を殖やすことが重要で。ドンが必要になった場合は都度海外送金(Wiseなど)で十分です。外国人の銀行規制が頻繁に変わるベトナムにおいて、ベトナムの銀行口座に多額の資金を入れること自体がリスク(ワークパーミット/レジデンスカードを持っている、あるいはベトナム株の間接投資用口座など法律で保護されていることを除く。)です。 

 

おすすめ取引ペア

おすすめの取引ペアは、USD/JPYの一択です。

ベトナムにおいても両方の通貨動向が生活・ビジネスに直結してくるからです。ベトナムにとっても、USDが基準であり、上述の管理フロート制において、USDを基準としてドンに換算する中心レートが毎日公示されています。

 

その他の投資

前述のXMは、実はFX以外にも、米国株指標やコモディティ、仮想通貨もトレード可能です。

海外駐在時のその他の投資や、仮想通貨取引については、以下にまとめましたのでご参考までに。

dokic2.hatenablog.com

 

dokic2.hatenablog.com

 

いかがだったでしょうか。いくら評判が良くてもGemforexのようにサービスストップされてしまう業者もおり、なかなかセンシティブな状況もあるので一切責任は負えませんが、本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。