アジアンプリンス日記

アジアンプリンス日記

ベトナム駐在員のメモです。遊び先、金融、不動産、法律、レストラン、生活、日々蓄積した情報で、ベトナムに関わる方の役に立てれば幸いです。(上記の「アジアンプリンス日記」をクリックすると、記事一覧を見ることができます。)

海外駐在時における投資(ベトナム編)

ベトナム 株 配当

海外駐在、つまり、日本の非居住者になると、概ね国内向け投資ができなくなります。

その代わり、駐在先の国での投資が容易になりますが、言語やサポート、法規制等の面で投資の選択肢が制限されます。どのような選択肢があるか以下に整理しました。

結論は株なので、株の情報が多いです。

 

定期預金

金利

他の途上国・新興国同様、ベトナムでは定期預金の年利が6~8%くらいあります。(*)その代わり、強烈なインフレにより通貨価値が下がるため、実質的な利益はでないとの議論があります。JETROによると、消費者物価上昇率は近年3%前後で推移しているため、インフレ率を考慮しても日本よりはリターンがあると言えます。

*記事を執筆した2019年ではこれくらいの金利がありましたが、市況や国家銀行の政策により近年大きく上下に変動しています。

 

また、最終的に日本円に換算した場合にいくらの利益になるか、という観点で考えると、近年、円・ドンの為替レートは比較的安定しており(1円=200ドン程度で推移)、良い気がします。

f:id:a6104010:20200209123228p:plain

10年間の円・ドンのレート推移(出典:XEウェブサイト)

→ XEウェブサイト

 

口座開設

ベトナムの銀行の口座開設については、以前は出張者でもできたようですが、2019年7月よりベトナム国家銀行の通達(19/2016/TT-NHNNおよび26/2017/TT-NHNN)により、少なくとも12か月のベトナムへの居住資格を有している人しか開設できないようになりました。

つまり、Work Permitを持っている人か、その家族でResidence Cardを持っていれば開設可能です。口座開設時点で、12か月の残存期間は無くても良いとのことです。

その条件に合致していれば、Vietcombankなどの大手銀行でも開設できますが、窓口対応は良くないと聞いています。支店にもよると思いますが、私の妻も、窓口で待たされた挙句、違う窓口を案内され、時間がかかりそうなため一旦家に帰ってきました。

私は、給与口座の他に、VP BankとBIDVの普通預金口座を持っています。VP Bankはとてもサポーティブでした。アプリの使いやすいですし、インターネットバンキングでの他行への送金も無料だったので、これからも使っていこうと考えています。

BIDVは下記の株のところで出ますが、証券取引用の口座を開設したので、ついでに普通口座も開設してみただけです。株口座の資金を引き出す際は、普通口座があると同じ窓口で対応してもらえるので便利かもしれません。

会社員の場合は会社推薦の銀行で口座開設すれば良いと思いますが、どこでも良い場合は、我々外国人にとっては行員がサポーティブかどうかが最も重要と思います。

 

留意点

・ビザ

上記のとおり、口座開設時点でビザを確認することが必要です。更に重要なことは、2019年より、国家銀行の規定により、ビザの有効期限が切れた場合に口座が利用できなくなりました。これは私は3つの銀行に口座を有しており、銀行により見解が異なったのですが(汗)、ビザ有効期限切れの場合は、ATMカードの利用(現金引き出し)と国内銀行への送金すらできないとのことです(VP Bankの場合)。

私の給与口座は外資系の別の銀行なのですが、そこはパスポートを更新したタイミングで、最新のビザの有効期限が1年未満ということを認識され、ATMカードが停止されてしまいました(国内送金は可能)。これについて会社のスタッフが銀行と話し合ってくれ、激しい口論の末、(恐らくビザ有効期限までは)また利用できるようになりました。国の規定が曖昧なようで、銀行の見解も曖昧と思われます。とは言え、現金がおろせなくなると死活問題なので焦りました。。

ちなみに、下記で出てくるBIDVは、証券口座の他に、一般口座も作りました。一般口座について、一生使えるのか?の質問を投げたところ、「一生使える」との回答でした。(ちょっと怪しいですがw)

加えて、労働ビザの更新についても、2021年施行の新政令の影響で、更新を止めれている人が続出している状況もあります(これはそのうち解消すると思いますが)。銀行の利用がビザと紐付いているのは非常に厳しいですね。

・定期預金の期間

Residence Cardの有効期限を超える期間の定期預金はできません(Residence Cardの有効期限が2020年6月の場合、2019年9月時点では12か月の定期預金に入ることができません。)。また、Residence Cardの有効期限が6か月未満の場合は、定期預金に入ることができません。このルールは2019年7月5日から有効になりました。

・日本への送金

また、日本からベトナムへ送金し、定期預金に入ることは簡単にできますが、逆に、ドンをドル等にして、それを外国(日本)へ送金(又は持ち出し)することは制限があります(金額が1回5,000ドルまでだと税関申告不要、給与口座以外からの送金手続きが非常に難しい、等)。従って、大量の資金をベトナムに持ち込み定期預金する際前に、再度日本に持ち帰るときのことを良く検討する必要があります。

→参考:大使館情報

日本に持って帰らずに、ベトナムの銀行のデビットカードにVISAブランドが付いていれば、それを日本で使うという方法もあると思いましたが、上記のビザ有効期限切れの場合にはだめだと思います。

また、繰り返しですが、コロナ以降金利が下がっています。こうして見ると、もはやリスクの方が高いですね。。。

 

株式投資

日本ではSBI証券などがベトナム株を扱っていますが、ベトナムに居住していれば、現地の証券会社の口座開設が可能です。私はSSI証券で開設しました。モバイルアプリもあり、アプリは日本語もあるため便利です。何より、日本語を話せる日本人向けの担当者がいます。

SSI証券口座開設ページ

 

最も良い点は、帰任後もこの口座を使って取引出来るという点と考えています。帰任後も安い手数料でベトナム株を取引できます。

*SSI担当者曰く、パスポートの有効期限までは取引が可能です。

私は、口座開設時に提出したパスポートとビザの有効期限が切れたまま、更新したパスポートをSSIに提出してなかったのですが、一応取引はできていました。パスポートを更新した際には、SSIに提出して情報を更新した方が良いです。

また、証券取引のための、間接投資用の銀行口座を作る必要がありますが、ベトナムの銀行規制は頻繁に変わるので、都度確認が必要かと思います。

ベトナム株については、それなりの時間をかけて体験・整理し、以下にまとめました。

dokic2.hatenablog.com

 

不動産投資

ベトナムでは2014年改正で2015年から施行された住宅法により、 外国人でも条件付きでマンションや住宅を購入できるようになりました。しかし、土地は購入できません。2013年の最新土地法では、マンションの敷地となる土地の外国人の使用権について規定がありません。

ベトナムでは少し前に不動産バブルとなり、その後不動産価格が下がりましたが、2020年現在は再度不動産価格が上がっている状況です。

金利が高すぎ、住宅ローンが普及していないため、キャッシュでの購入となる、または10年程度のローンとなります。また、売却益が簡単には海外送金できないです。そのため、あまり現実的ではないように思います。

一方で、VinGroupを始めとする不動産関連企業はかなり調子が良いです。このような企業の株を購入することが現実的と考えてます。前述の、不動産事業による所得を、海外送金する際に制限があることも、懸念点です。

以下の記事が参考になります。

Vietter記事

VietJo記事1VietJo記事2

 

米国株

現物株

それでは、ベトナムに居住しながら、ベトナム以外の国での株取引はできるのかと思い、確認しました。

1.Firstrade証券

アメリカでFirstradeという素晴らしい証券会社があり、アメリカ非居住者(ベトナム居住)でも開設可能です。私もどうにかベトナムから開設できました。

口座開設には、FTIN(Foreign Tax Identification Number)、パスポートコピー、居住証明が必要です。FTINは自分の所属するベトナム現地法人の人事部に聞いたら分かりました。

しかし同時に、当然ではありますが、アメリカの銀行口座開設が必要です。

過去にアメリカに居住したことがある人なら持っているかもしれませんが、基本的に、アメリカの口座開設は、アメリカの銀行に行く必要があります。

日本にいる場合は、三菱UFJ銀行が日本にいながらアメリカの銀行口座を開設できるというサービスがありました。しかし提携先のユニオンバンクを売却することになりました。三井住友銀行が個人向け銀行に動き出すニュースに期待です。

また、海外送金サービスWiseのマルチカレンシー口座でアメリカの銀行の口座も作ることができるのですが、受け取りのみで、ここからFirstradeへの入金はできないとのことでした。

2.フィリップ証券(シンガポール)

シンガポールのフィリップ証券では、ベトナム居住でも米国株が取引きができます。日本支店もあるのですがそれは日本居住者向けで、ここで言っているのは、シンガポールの本店での口座開設のことです。

日本語デスクもあり、日本人の方が問合せ対応をしてくれる上に、最近はLINE登録もできるようで、使いやすくなっていると思います。

米国株の手数料は3.88米ドル固定なので安いと思いましたが、口座維持手数料は四半期ごとに1回も取引をしなかった場合のみ、16.05シンガポールドル発生するのが留意点です。

また、Firstrade証券のように、現地(この場合はシンガポール)に銀行口座を持つ必要はなく、安心の国際送金サービスWiseからも入金が可能です。

 

CFD

その他、間接的にアメリカ株に投資できる方法があります。それは、CFDの口座を作ることです。CFDとは、Contract for Differences(差金決済取引)の頭文字を取った略語で、簡単に言うと、現物の受け渡しをせずに取引を行う方法です。FXもCFD一部です。CFDにより、アメリカや日本などの個別銘柄、コモディティ、インデックスなどが取り引きできます。例えば、アップルのCFDは、現物のアップル株と連動する価格設定となります。というわけで、間接的にアメリカ株やアメリカの株式指数に投資することができます。

代表的なIG証券は、ベトナム居住でも開設できました。日本向けサイトもありますが、ベトナム居住では、Internationalサイトでのみ登録することになるので、すべて英語となります。

留意点としては、以下があると考えています。

・銀行振込もありますがハードルが高いので、クレジットカードでの入出金となること

・ドルでの取引となるので、自身の基本的な銀行口座が円の場合、入金のタイミングがドル高局面では為替差損に注意するべきこと

・ベトナム居住の口座はInternational口座になり、日本に帰国すると日本口座になります。Internationalから日本へのポジションの引継ぎは、確認しましたが、できないようで、帰国前にすべてのポジションをクローズして、資金も引き上げる必要があります。

ベトナム株は好きですが、アメリカ株は継続して魅力的ですし、分散という観点でも良いと思います。売りポジションもできるのでヘッジにもなります。

IG証券

 

米国株価指数を海外FX業者で取り引き

下記でFXの詳細がありますが、海外FX業者がCFDとして、米国株価指数(S&P500など)や日経平均などの代表的な指数を取り引きすることができます。海外FXはベトナム居住でも開設可能です。

下記で紹介している代表的な業者である、XMでも米国株価指数への投資が可能です。

 

海外FX

その他、インターネットのみで可能な金融取引があり、FX、バイナリーオプション、仮想通貨がそれに該当するかなと考えています。

特に、FXは、投資?というよりはギャンブルに近いと思っていましたが、海外に住んでいると否応なしに為替の影響が出てきます。

レバレッジ○○倍と聞くと怪しいので、避けていたところもありますが、徹底してリスク管理を行うことができ、日本の株の信用取引よりもよっぽど健全と捉えています。

 

日系のFX会社などは日本の居住者でないと口座開設できないことが多いですが、海外FXは口座開設可能です。例えば、XMBigbossは私も開設し、トレードしています。すべて海外からでも口座開設が可能で、日本語のサポートが手厚くて良いです。

数は少ないですが、ここで紹介する会社は、最初に口座開設した際に、ボーナスがつくので、入金0円で試して、利益が上がったら実際に出金できる、良い会社です。

 

例えば、Bigbossという会社。

Bigboss口座開設ページ

開設が容易で、日本語対応です。その他、仮想通貨の取引も行えるので、広がりがあります。また、メールマガジンだけでも地味に役立ちます。私は最初に開設しました。

 

また、最も信頼されているのは、XMです。ここは、日本人が最も利用している海外FXと言われています。

ただし、住所確認が若干面倒かと思いました。電気代等を自分で払い住所記載の請求書等を提示できる、または、ベトナムの銀行の取引明細書に住所を記載して提出が必要です。(銀行窓口に依頼したらできるとは思います)

XMも新規口座開設で5,000円のボーナスがもらえ、無料でトライできます!日本語のサポートもあるので良いです。

XM口座開設ページ

 

*口座開設して入金せずにしばらく取引が無いと、口座が凍結されてしまい、ボーナスもなくなるため、開設したら無料でもらえるボーナスだけは使用しましょう。

 

上記の業者は、入金ゼロ円で試して、100円単位で取引でき、日本の国内FXと異なり追証による借金リスクが無いので安心して始められます。その他の疑問点、始め方は以下の記事にまとめました。

dokic2.hatenablog.com

 

 

仮想通貨

VIETJOの記事ではベトナムは仮想通貨の普及率が世界2位と出ていましたが、ベトナムでは暗号通貨(仮想通貨)は法律上保護されていません。そのような状況の中で、BitcoinVNという会社が2013年からベトナム最大の取引所として運営しています。他にもいくつも取引所があり、仮想通貨はベトナムでかなり盛んです。

動向の詳細とベトナムでの取引方法について、別途以下の記事にまとめました。


dokic2.hatenablog.com

また、ビットコインを実際に購入した際のメモは以下になります。  dokic2.hatenablog.com

dokic2.hatenablog.com

 

まとめ

あまり選択肢がないのですが、今はベトナム株と海外FX、という結論です。 ベトナムは国外への出金規制が厳しいので、高額を日本から送金して定期預金に預けるというのもどうかなと思っています。