日本の証券会社でベトナム株を取引すると大きな手数料がかかります。
なので、現地の証券会社の口座を開設したいが、ベトナム居住ではないし、海外にも行ける状況ではないから開設できないという声を聞いていました。
しかしSSI証券が最近、日本にいる投資家が、日本にいながら口座開設ができる方法を発表していたので、この記事で紹介し、そこでの留意点等も明らかにしたいと思います。
ベトナム株の魅力とは
ベトナムの経済成長
第一に、ベトナム経済の凄まじい躍進があります。「社会主義志向の市場経済」を導入して以来、GDPは成長し続け、特にここ10年間でも、平均6%の安定したGDP成長率となっています。(参考:大使館資料)
2020年は全世界がコロナ禍で経済的ダメージを受けましたが、共産党による安定した政治体制と、東南アジア一人勝ち(日経記事)と言われる強さがベトナムにはありました。
実際の株価の伸び
以下はSBI証券からの抜粋ですが、VNINDEXというベトナムを代表する指数の10年間のチャートです。2012年に400辺りだったものが、2021年末は1,500あたりになります。
以下は、他国の指数との比較(Trading Viewより)。日経平均、ダウ、S&P500と比べて、ベトナム(VNINDEX)はここ10年で最も高いパフォーマンスを発揮しています。なお、一番下は参考としてタイSET指数です。
少額で取引可能で、分散しやすい
投資の格言で「卵は一つのかごに盛るな」というのがありますが、ベトナム株は少額で始めることができるので、分散が容易です。
ベトナムと言えば物価が安いのですが、株価がかなり安く、少額で購入できます。
例えばVN30という優良銘柄指数の構成銘柄でも、30,000VND(約100円)/株で単元が100株(ホーチミン取引所)として、1銘柄3,000,000VND(1万5千円)などでも取引できます。
日本の証券会社の手数料との比較
取引方法ですが、最も簡単かつ代表的な方法として、SBI証券で取り扱いがあります。
但し、SBI証券は1取引に、約定代金の2.2%(最低132万VND:6,500円程度)手数料がかかります。それに対して、ベトナム現地の証券会社の代表であるSSI証券は、1取引あたり取引金額の0.25%(*)と、9分の1くらいで、破格に安いです。
*ブローカーが不要の場合、0.15%です😅
ちなみに税金は、売却金額の0.1%です。
ベトナムの証券会社の代表:SSI証券
ベトナム最大手の証券会社です。Viet Nam Newsの記事によると、 2020年にホーチミン取引所において、11.8%の市場シェアがあり、トップでした。SSI自身がVN30に入る優良銘柄です。
ウェブサイトは一部、日本語対応もしており、実際日本語を話せるスタッフも数名会ったことがあります。
私はベトナム駐在員ですが、ベトナムに住んでから、SSI証券の口座を開設しました。
しかし、最近になり、SSI証券が日本居住でも開設可能な方法を宣伝していたので、以下に紹介したいと思います。
日本での公証が必要なため、すべてを自分で試したわけではないのが申し訳ないのですが、ある程度自分で確認したため、皆様の参考になればと思いご紹介しています。
SSI証券の口座開設を日本にいながら実施する方法
以下に流れを記載します。
1.担当者の確認
私はこれが最も重要と思います。日本に在住しており、特に直接自分でベトナム当地のSSIの支店に行けない場合、遠隔でもきちんとサポートしてくれる窓口が重要です。
SSIのウェブページを見ると、いくつか Contact の記載があるのですが、この電話番号やメールアドレスに連絡しても私は何も返答がありませんでした(ベトナムあるある)。
現時点(2021年12月21日)の最新の情報を確認したところ、口座開設ページ(日本語)から、「国籍」の箇所で「海外」クリックすると、下に連絡先が出ます。今は3つ支店が表示されますが、すべて同じ日本語メールアドレスなので、そこに連絡すると良いでしょう。相手はベトナム人ですが、実際に試したところ、日本語で返信がありました。
後は担当者の指示に従って実行してください。以上です。笑
(ただ、ベトナム株でこのようなサービスが出るようになっただけでも、かなり進歩だと強く思います。)
また、方法や規制が常に変わる可能性があるのでこの記載が一番と思いますが、それではイメージが沸かないと思いますので、以下に現時点でSSIからもらっている情報で、流れを記載します(あくまで最新の情報は担当者に確認する必要があります。)。
2.口座申込に必要な書類を準備・送付
担当者の指示に従い、以下の書類を準備します。
・パスポート(公証)2通
ベトナムの公証役場でやると安いのですが、日本では、東京/大阪/福岡のベトナム大使館/領事館でできます。一応現金書留でパスポートを郵送して依頼もできるようです(自分だったら直接行くけど。)。
東京・大阪なら5,000円かかるとのこと。これだけが口座開設にかかる唯一大きな経費かと思います(ベトナムへの旅行代に比べたら安いかと。)。
・BIDVの海外間接投資用口座とSSIの証券口座の開設書類準備
SSIが後日送付する口座開設書類(11通)にサインして、SSIに郵送します。
サインするのが本人であることを証明する際に、サインをしているところのビデオ録画をスマホなどで行い、送る必要があります。。。この辺りはベトナムっぽいですね。
*BIDVは大手国営銀行の一つです。SSIの資金管理のために口座開設が必要で、通常の銀行口座とは異なり、外国人の投資用(株式の売買と決済)の口座となります。
*海外関節投資用口座は、BIDVかベトナム輸入輸出銀行のどちらかに国により指定されています。BIDVで良いでしょう。
3.SSI証券からメールを受領
通常3~4週かかるようですが、口座開設されると、BIDVの口座番号と、証券取引コードが、SSIからメールで送られてきます。
4.BIDVの口座に海外送金
入金はBIDVの口座に行います。以下の2通りがあります。
・海外送金による振込
・ベトナムに実際行って現金で振り込む
*ベトナムへの現金持ち込む場合は、税関申告を提出する必要があり、そこに記載した金額以下しかBIDVに入金することができません。振込の方が良いと思います。
5.取引
実際の取引はすべてオンライン(Webブラウザまたはアプリ)で可能です。
6.出金
以下の2通りです。
・現金で引き下ろす(ベトナムに行く)
・送金を担当者に依頼する。BIDVの送金手数料は、金額の0.3%で、最低16.5USD、最高335.5USDとのことです。
留意事項
ブローカーとのコミュニケーション
他の証券会社よりはSSI証券は日本人対応スタッフ多いですが、それでも多くいるわけではないので、連絡が来なくなった場合があると思われます。頻繁に催促をする必要があります。
余談ですが、ベトナムでは、メッセンジャーアプリがビジネス・通常の友人同士の会話でも良く利用されており、以下のZalo(ベトナムのLINEのようなもの)やFacebookのMessengerなどを担当者と交換すると、コミュニケーションがスムーズになるかなと思います。
入金は上記のとおりなのですが、ベトナムは海外への資金の流出に敏感な国であり、後に出金する時に、海外送金で入金してなくてベトナムで獲得した資金で入金する場合、資金源を証明する必要があります。
つまり、ベトナムで収入があり、ベトナムの銀行から入金した場合などは、出金する際に資金源の証明(給与口座の明細、労働契約書の公証)が必要とのことです(すべて日本でやる場合は気にしなくて良いです。)。
Wise(旧TransferWise)の利用
SSIからメール送られてくるガイダンスには、BIDV口座への入金通貨として、円かUSDと記載があります。しかし、海外送金はコストが高いため、安価な海外送金サービスであるWise(旧TransferWise)が利用できます。私も実際やり、驚くほどスピーディに入金できていました。
しかし、上記の出金時の規制が若干気になるので、問題ないと思いますが、事前にSSIの担当者に確認していただきた方が良いです。
なお、Wiseの登録・利用方法は以下の記事にまとめています。
まとめ
私はベトナム駐在員であり思い入れもあるのですが、一般的な観点においても、投資先としてベトナムは近年非常に注目されています。株式市場も旺盛であり、コロナ以降、米国株式市場の伸びが注目されていましたが、同時期にベトナムも同様の成長度合いでした。今後アメリカ以外の市場を探している投資家がベトナムに注目しています。
あまり記載していませんが、日本円・ドンの為替も近年安定しています。
また、実は以前もベトナム株ブームがあり、その際は、ベトナムに来て口座開設するをツアーがあったとか。
しかし、今は便利な時代になり、日本にいたまま、ベトナムの証券口座を開設できるようになりました。これだけでも大変な進歩と思います。
この記事の情報が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
→SSI証券の口座開設ページ(日本語)
→面倒なことをせず、日本の証券会社が良ければ、SBI証券で 口座開設