アジアンプリンス日記

アジアンプリンス日記

ベトナム駐在員のメモです。遊び先、金融、不動産、法律、レストラン、生活、日々蓄積した情報で、ベトナムに関わる方の役に立てれば幸いです。(上記の「アジアンプリンス日記」をクリックすると、記事一覧を見ることができます。)

海外居住時でマイホームを貸し出した際の税金の還付について

私は海外駐在にあたり、日本に持っていたマイホームを貸し出したのですが、転貸会社経由で貸したため、不動産収入に源泉徴収がありました。その還付手続きで整理された情報がなかなか見当たらなかったので、参考になればと思い、以下に整理します。

 

前提

・マイナンバーカードを持っていないこと

→海外移転に伴い、自治体にカードを返納しているはずです。

*今後マイナンバーカードを非居住者でも持てるようになる可能性もありますが、その際は、ウェブだけで完結するかもしれません。

・日本に納税管理人を立てていることが前提

→私は日本に居住している母親が納税管理人でした。

・自分のケースは一般的だとは思いますが、あくまで参考としてです

→後は税務署に電話で聞きまくると良いです。

・過去5年以内の還付手続きであること

→翌年から5年後の年末までで、2019年分の手続きなら、2024年12月31日までに申告すれば良いです

 

大まかな流れ

・国税庁ウェブサイトの「確定申告書等作成コーナー」から作成

・上記で、「収支内訳書」と「所得税の確定申告書の2つを作成

・上記で作成した書類をプリントアウト

・上記書類をマイホーム所在地を所管する税務署に送付

・指定した自分の銀行口座に管轄税務署から入金

 

ちなみに

難しそうだと思っていましたが、以外とできます。

恐らく、本記事を参照にして、ご自身のケースが異なるところはそこだけ税務署に少し確認すれば理解できます。

当初色々と損をしないように経費に算入できるものを整理しようとしましたが、周りの経験者とも話したところ、そこまできっちりやっている人はいませんでした(例えば青色申告や減価償却を経費に算入する、など)。

複雑で不慣れなことをやって限界まで還付金を求めるよりも、ある程度まとまった金額が簡単に返ってくることを重視した方が良い、という考え方もあると思います。

また、普通のサラリーマンがマイホームを貸した私のような場合、経費は転貸会社の管理費用、減価償却費、基礎控除だけで、ほとんど賃貸収入を上回ります。そのため、あまり何が何でも経費に、、、としなくても良いと気を楽にしてください。

さらに言えば、金額がそれほど高くなければ、個人レベルでは、税務署もそこまできっちり見ないのではないか、とも思いました。例えば、証拠書類の添付は不要でした。

 

私のケース

・都内の戸建て(建物と土地)を貸し出し

・納税管理人は日本にいる母親

 

事前に用意するもの

・収入が分かる証拠書類:転貸会社から発行される年間収支明細など

・経費に算入するものの金額、証拠書類:

*証拠書類は提出不要だが、何か問い合わせがあった時のために保管しておいてくださいと税務署から言われました。但し、還付が終わった後も、今のところ提出を求められてはいない状況です。

 

確定申告書等の作成方法

現時点で実施した場合の、作成方法を以下に詳細に記載します。以下、全て自分のケースを例に記載します。

収支内訳書の作成

・国税庁のWebサイト「確定申告書等作成コーナー」から、「作成開始」

・(マイナンバーカードを持っていないので)「印刷して提出」をクリック

・「利用契約に同意して次へ」

・今回の作成したい年を選択(過去5年以内のもののみ申請可能)

・「所得税」「決算書 収支内訳書」の2つを作成する必要があるが、まず最初に、「決算書 収支内訳書」を選択

・「次へ進む」

・「青色申告決算書」「収支内訳書」「青色申告決算書(現金主義)」があるが、「収支内訳書」を選択

青色申告を選べますが、不要と思います。個人が持ち家を貸す程度であれば、意外と、諸々の控除額でほとんど源泉徴収された金額が還付される計算になると思います。自分の場合も、青色申告なしでも、源泉徴収額が全額還付されました。

・「不動産所得がある方」を選択

・期間の入力:1月1日~12月31日(年途中から収入が発生しても、これで良いと思います)

・「金額の入力」→「収入金額の合計」

収入金額の記入

・賃貸料→「入力」→「不動産所得の収入を入力する」

 ・貸家・貸地等の別:賃家(居住用)

 ・用途(住宅用、住宅用以外等の別):住宅用

 ・不動産の所在地:所在地を記載

 ・賃借人の住所:「不動産の所在地と同一住所」をクリック

 ・賃借人の氏名:これは本来は転貸会社の名称を記載するべきだと思いますが、画面の仕様上、12桁の制限があり転貸会社名が入らなかったので、私は居住者の方の氏名を入力しました。

 ・賃貸契約期間:8月から入居したので、申告する年の8月~12月としました

 ・貸付面積:契約書などの証拠書類は提出不要ですが、それらの書面を確認して記入

 ・賃貸料、礼金等:転貸会社の年間収支明細等を見て記載

 ・その他の収入、預り金の年末残高:あれば(私は無かったです)

  →(貸し出した物件は一つだったので)「入力内容の確認」→「次へ進む」

経費の入力

・「経費の合計」をクリック

・給与賃金:あれば(私は無かったです)

・減価償却費:「入力」→(減価償却費の計算はお済みですか?で「いいえ」を選んだまま、)「減価償却資産を入力する」(するとこのシステム上で計算してくれます)

他の経費で税務上赤字にすることができる場合は、面倒なので、省略しても良いです。国税庁に問合せたところ、所得税法上は、計上していなくても発生しており、申告漏れとして扱われるだけのようです。

 

 ・減価償却資産の種類等:建物・車両・機械・備品等(定額法)

  →私の場合、2007年4月1日以降に取得した不動産のため

 ・減価償却資産の細目:建物及びその付属設備

 ・減価償却資産の名称:家屋

 ・面積又は数量、取得年月、取得価額:適宜記載

 ・前年末未償却残高:

  →少し計算が必要ですが、以下の国税庁ウェブサイトを参照に計算しました。

  参照1参照2

  私の場合、2015年9月に木造戸建てを取得(以下の取得価額は仮)したので、減価償却率は定額法で0.046となり、下表を作成しました。2020年分の申請をした際の未償却残高は、赤字の16,013,333円となります。

 ・耐用年数:22年(木造住宅用なので)

  →国税庁の減価償却資産の耐用年数表を参照します

 ・本年中の償却期間:12

 ・事業専用(貸付)割合:100.00%

 →すべて終わると、上記表で自ら試算できていますが、システムで減価償却費が自動計算されます。

・貸倒金、地代家賃:なし

・借入金利子:「金融機関への支払い」の欄に、該当年の利子分のみ計上。年の途中で入居して貸し出しを開始した場合でも、入居募集開始から計上してOK(税務署に確認)

・租税公課:年間の固定資産税・都市計画税を入力(納税通知書を見る)

・損害保険料:年額を計上。20年分なら、20で割った数字。(私は火災保険と地震保険の合計分を計上)

・任意科目:ここで、転貸管理会社の管理費用を計上します。空欄に「転貸会社管理費」と入力しました。

私の場合、経費として計上したのは以上です。

 

他はすべて空欄で、次へ進みます。

・納税地情報等:住所はマイホームのある住所

・氏名:納税管理人ではなく、自分の氏名

 

その後、印刷して、PDFに保存、作成用ファイルも保存します。

その後、「所得税の申告書作成はこちら」で所得税の申告書を作成します。

 

所得税及び復興特別所得税の確定申告書作成

収支内訳書の情報を引き継いで、確定申告書を作成します。

ここで漸く、源泉徴収の還付額を明確にし、還付という目的を果たす申請書にします。

 

・申告内容に関する質問:

→「税務署から予定納税額の通知を受けていますか?」は「いいえ」

・収入金額・所得金額の入力:

「不動産所得」に、収支内訳書で入力した情報が引き継がれていることを確認。

源泉徴収税額の入力

ここで、源泉徴収税額を入力します。

免責事項ですが、これは税務署が正式に指定している方法ではないです。

但し、この確定申告書作成コーナーのシステム上、正式な方法がないようです(還付を妨げようとしているとしか思えないですが・・・)。ちなみに、正式には紙で手書きで記載して欲しいとのことでした。

ネット上で他の方が実施していた方法ですが、私も3回申請して問題なかったので、ここに共有します。

 

雑所得→その他→「入力する」

・雑(その他)所得の入力:

 ・種目:その他

 ・その下の空欄:不動産

 ・業務に該当しますか?:いいえ

 ・収入金額:0

 ・必要経費:0

 ・源泉徴収税額:ここに源泉徴収された金額を入力します。

 ・所得の生ずる場所:転貸管理会社の住所

 ・報酬などの支払者の氏名・名称:転貸管理会社の名称

 *下図のような感じです。

 

 →「入力内容の確認」を押下。その後、以下の確認のポップアップがでますが、「はい」を押下。

「【収入金額】から計算した【源泉徴収税額】が入力内容と異なっています。入力内容を確認してください。」

 

→「入力終了(次へ)」

・所得控除の入力:ここも何も入力しません。

→色々な控除項目がありますが、非居住者が控除できるのは、「雑損控除」、「寄付金控除」、「基礎控除」のみのようです(税務署に確認)。基礎控除は自動入力されます。

→「入力終了(次へ)」

・税額控除・その他の項目の入力:ここも何も入力しません。

→「入力終了(次へ)」

・計算結果確認

この画面で、還付される金額が表示されていると思います。「次へ」を押下し進みます。

その後、還付金受け取りのための銀行口座や、住所(申請しているマイホームのある住所)等必要事項を記載します。

・マイナンバーの記載は不要です。

・証拠書類の添付は不要です。

・印刷して、PDFを保存、作成用ファイルも保存します。

 

郵送して税務署に提出

上記で作成した、2つの書類を印刷し、日本から不動産がある地区の所管の税務署に郵送します。

印刷した書類の氏名・住所の欄に、私は納税管理人としていた母親の氏名・住所を念の為記載しました。何か申請に問題があった時は、納税管理人に連絡が行くようです。

書類提出は、一旦実家の母親に郵送し、そこから税務署に郵送してもらいました。

海外から税務署に直接送ることもできそうですが、電話で確認したら嫌がられました。

 

入金を待つ

後は入金を待つだけです。特に何も通知(*)がありません。銀行口座をインターネットで見ていたら、提出から1か月ほどで振り込まれていました。

*e-TaxのIDのIDがある人は、還付金処理状況が見られそうなメールが来ましたが、私はIDとパスワードを忘れてしまったので、確認できませんでした。

 

まとめ

いかがだったでしょうか。一旦流れが分かれば、何となく税務署の考え方なども分かってきて、手続きができるようになると思います。

また、自分で調べた上で、分からないところは税務署に電話すると、懇切丁寧に教えてくれます。

上記はあくまで自分の例であり、異なるところもあると思い、また、責任を負えるものではないためご自身で一つずつ確認していただきたいですが、せっかく整理したものだったので、皆様の参考になれば幸いです!