アジアンプリンス日記

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ベトナム駐在員のメモです。遊び先、金融、不動産、法律、レストラン、生活、日々蓄積した情報で、ベトナムに関わる方の役に立てれば幸いです。(上記の「アジアンプリンス日記」をクリックすると、記事一覧を見ることができます。)

ベトナム現地スタッフの採用体験談

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私にはベトナム駐在の師匠がいるのですが、自分の駐在が決まった後にやるべきことは、まず第一に、現地スタッフ(ローカルスタッフ)を採用することと言われました。色々な苦労があったので以下に体験談を記載します。

 

 

現地スタッフが必要な理由

(ベトナム人のお客様とビジネスをする場合ですが)師曰く、ベトナム人のお客様との会議において、ベトナム人は本音と建て前を日本人と同じように使う。会議中の発言についてちょっとニュアンスは、通訳を通した会話ではもとより、いくら言語が通じたところで、日本人には分からない。そのため、現地スタッフから会議のフォローアップとして会話し、本音を聞き出すことが重要である、と。

そのため、予算確保に時間がかかったものの、現地スタッフの採用を始めました。

 

採用プロセス

私の会社では、人材紹介会社を通して採用します。(その他、会社内に空きポジションを通知して、知人・友人に知らせるという方法も取ることも、割と一般的なようです。)

TOR(募集要項)を作成し、人材紹介会社に人事部から送付します。 

その後、TORに興味を持った候補者のCV(履歴書)が次々とこちらに送られてきます。

良いと思った候補者と面接を実施し、良ければ、人事部と面接をさせます。

その後、候補者の希望も踏まえた上で、具体的な給与や勤務開始日を社内で調整し、候補者にオファーします。

候補者がこちらが提示した条件に合意すれば、採用決定です。

後は勤務開始日を迎えるだけです。

 

実際に募集を開始

驚いたのが、TORを書いて、人材紹介会社に依頼してから1~2週間ほどで想定よりも多くのCVが来ました。その中からある程度基準に沿った候補者を選ぶと、ぐっと人数は減りますが。面接までしたいと思う候補者は2名いました。

私の基準は非常にシンプルで、年齢が自分以上のこと、私の求める職種の経験が一定程度あること、の2点だけです。

色々な意見があると思いますが、ベトナムは儒教文化のため、年齢が上の人を敬います。単純ですが、若いスタッフだとお客様の幹部の相手にされない場合が実際あります。また、即戦力が欲しいと思っていました(あと、ベトナム人ともたまに話していますが、やはり女性が良く働きます。)。

このようにして、私の人生で最初の面接を設定することができました。

 

面接

そして、面接当日、私は彼女を心待ちにしていました。

緊張しますが、私と一緒にこれから戦ってくれる仲間に会えることの楽しみの方が勝っていました。そもそも、日本語で話すのか、英語で話すのか、英語だとしても自分は質問するだけだから簡単か、なんてことを考えながら、待っていました。

しかし、時間になっても一向に誰も来ません。

 

そして、予定時刻から5分経過後、それっぽい人が来ました。白いワイシャツに黒のスカートで、清楚な感じの年上の女性(おば様)です。こんにちは~と日本語で挨拶。部屋へ案内をし、面接を開始しました。

最初から遅刻ということは突っ込みません。もはやベトナムの時間間隔には慣れています。

彼女曰く、バイクの駐車場が分かりにくいというのが理由でした。

 

面接は終始和やかに努めました。そしてこちらの聞きたいことも十分確認できたと思います。

そして、私が合格を出したため、人事部長と後日面接をしてもらいました。

 

給与額の交渉 

新スタッフの予算確保の際、給与額の費目もあります。見積費用は、人事の推奨額をもらい、予算計上しました。

それを基に人材紹介会社に募集をかけるわけですが、そこに出る給与額はレンジ(〇〇USD~△△USD/月)で出るようです。

候補者からは、希望の給与額を提示されます。ここでは仮に1,800USDとします。

そして、人事は面談をした結果、相手の希望額を考慮し、1,600USDなどと決めて、候補者にオファーします。

人事曰く、候補者は常に高額を提示する、と言います。そして、低く設定しても、大抵飲み込むとのこと。

また、社内の給与体系もあるため、それと合わせる必要があるとのことでした。知識もないですし、私はそれを尊重し、人事に交渉を任せます。

後は、候補者がその額に承諾すれば、勤務開始日を決め、待つだけになります。

 

勤務開始日まで 

意外にもすぐに候補者と合意が出来きました。そのため、人材紹介会社経由の募集もストップします。

メールアドレスや名刺の事務的な準備は、総務部門やIT部門がやってくれます。

勤務開始日を調整し、勤務開始日を楽しみに待ちます。

私の日本の上司なんぞは、出張目的の一つを現地スタッフと面会すること、公言していました(そんなこと、海外出張理由としてあり得るのでしょうか。)。

 

しかし、そこで問題が起こりました。

 

いよいよ勤務開始日の4日前という時、候補者から長文のメールが来たのです。一言で言うと、やっぱり今の会社に引き留められ、転職できないとのことでした。

 

・・・

 

最初にメールを見たときには引きました。そもそも候補者から私に直接メールが来ること自体が怪しいのですが、なおかつ、長文で結論が最初に書かれておらず、メールをスクロールする際に、嫌なドキドキ感がありました。そして最後の段落に、今の会社に留まることをdecideしたと書かれていました。

 

なんと言うことでしょうか。面接を2回して、給与の交渉をして、入社する意志を見せていたのに、まさかのドタキャン。。。

飲み会に参加すると言って、ドタキャンするのとはわけが違います。

 

落胆しました。本業の方もうまくいっておらず、新しい仲間を増やし、活性化しようと思っていた矢先だったので、本当に落胆しました。

また、現地では私はほぼ一人で業務を回していたので、仲間が増えることをとても楽しみにしていました。

歓迎会や、業務指示、座る座席の考慮など、色々なことを準備していました。

しかし、良く考えたら、面接から一か月半も経過していたのです。心変わりの時間を与え過ぎたのかとも後悔しました。

本当は1週間ほど早く勤務開始できる予定でしたが、予算の都合もあり、区切りの良い、月初に設定したのが、時間を与えすぎた一因かと後悔しました。

人事が給与交渉することに反対し、彼女の言う通りの給与にすれば良かったのかと後悔しました(人事は私が言う前に彼女に確認し、給与のせいではないと回答を得ていました。しかし彼女が本当のことを言うとは限りません。)。

新卒の内定辞退について、人事担当者が悩む理由が漸く理解できました。私の場合は、一人しか募集していないので、本当に堪えました。

 

そして、切れ気味に、人事にすぐに新しい人を募集するようにメールしました。

周りのベトナム人スタッフもあり得ない、と怒ってくれました。

日本人スタッフからは、入る前で逆に良かったんじゃない、と慰められました。

と言うか、入社後すぐ辞めらることも良くある、という話でした。

 

教訓:面接後~入社までの期間を短くする。

 

再募集

 特に日本語を話す候補者は、企業からの募集や条件も良いので、こういうことはよくあるようです。だから厳しくしすぎないようにして、5分遅刻したとか細かい管理をしないように、と人事に言われました。 再度募集をかけると、人材紹介会社にまたリクルートメント費用(月額給与の2倍)を払わないといけないので、と。

 

そして、再募集をかけました。すると、すぐにCVが送られてくるものです。

再度面接を行いますが、結局、前回第2候補だった人を呼んで面接し、給与交渉を行い、採用しました。

そして、勤務開始3日目、その人から朝7時に辞める旨メールが来ました。

これもきつかったです。

が、彼女の判断が早かったので、逆にそういう人と中途半端に長く仕事をしなくてお互いのためになったと思います。

 

再々募集

そして、3人目を採用するために、再度TORをアップして、CVを待ちます。本当にベトナムの人材は豊富だと思いますが、1週間ほどですぐにCVが集まります。私のTORにマッチしない人も多いですが、あまり絞らなければかなり豊富に人材はいるものだと考えさせられました。つまり、辞められても、ある程度すぐに復活できるかもしれない。

今度のスタッフは、年上という縛りを辞めて、少し年齢下の人を面接し、採用しました。彼女は、私の下で1年以上働きましたが、今まさかの3人目を出産し、産休中です。

結局振り出しに戻り、通訳さんと一緒に仕事をすることになりましたが、ベトナムの産休は6ヶ月しかないので、またすぐ彼女と仕事をすることになると思います。

 

この記事は、最初の人が入社を辞退するメールをもらった時のショックが大きすぎて書きましたが、周りの知人に聞くと、山程ある話のようです。

 

以上、皆様の参考になれば幸いです。